アジアンハイグリップ「ナンカン AR-1」は本当にコストパフォーマンスに優れているのか。街乗りやサーキット、寿命などについてのレビューになります。
ナンカンタイヤについて
1940年に「台灣護膜株式會社」として設立。現在ではスポーツタイヤからスタッドレスタイヤに至るまで様々なタイヤを製造している。
Wikipediaより
台湾のタイヤメーカーで一般的な知名度はそれほど高いとは言えませんが、会社としての歴史は80年以上と意外と長いのでそれなりのノウハウはあるのかと思います。アジアンタイヤのイメージはとにかく安いということ。今回選択した、「AR-1」はその中でもスポーツに振ったハイグリップタイヤなのでその使用感を素人なりにレポートしたいと思います。
AR-1の特徴
メーカー曰く「ドライグリップ性能を極限まで高めサーキット走行でも安定したグリップ力を発揮するハイグリップタイヤ」とのことですが、トレッドパターンを見ればまさにスリックタイヤにグルービングを施したかのような形状で設置面積を極端に広く取った作りです。また、注意書きとして「AR-1(エーアールワン)は、サーキット等でラップタイムを競う為のセミスリックタイヤです。(レース用ですが、公道の走行は可能です。)」とのことです。理由は後程述べますがこのタイヤを検討している方はこの特徴を理解したうえで購入した方が良いかと思います。
ストリート(街乗り)
とにかく微振動と騒音がひどくロードノイズなんてレベルではありません。馴染んだら多少改善されるのかと思いきやずっとひどい状態です。安いからと言って通勤やドライブでの使用がメインの方はやめた方が良いかと思います。大げさに表現すると高速道の路肩の白線を踏んだ時のブーンという音と振動がずっとあります。スポーツタイヤなので多少の音と振動は想定していますがこれは想像以上でした。個人の感じ方に違いはあるかと思いますが、私には耐え難く早く消費して次のタイヤに交換したいと思ってしまいました。あとはストリート性能ではウェット路面での排水性が重要かと思いますが、普通に走っている分には特に不安に感じることはありません。しかし、パターンを見れば排水性が低いのは目に見えているのでそれを考慮した走り方をする必要があるかと思います。
サーキット(筑波TC200、富士レーシングコース)
このタイヤの前に履いていた「POTENZA RE-71RS」との比較になってしまいますが、絶対的なグリップ力は国産ハイグリップにはかないません。反面、扱いやすい点としては滑り出しの穏やかさがあります。「RE-71RS」は踏ん張った後に唐突に滑り出しますが「AR-1」はとてもコントロールしやすいです。一般的な非ハイグリップタイヤに比べたら能力は高いので練習用と割り切れば価格が安いので消耗品としての使用は十分にありかと思います。
耐摩耗性
米国の評価指標としてTREADWEAR(耐摩耗性能:40~460)というものがありますが基準値が「100」です。「AR-1」のTWは「80」です。と聞くと基準値より20低いだけじゃないかと思いますが、国産ハイグリップの「ADVAN NEOVA AD09」や「DIREZZA ZⅢ」ですらTWは200です(他にTW80のタイヤは見当たりません)。いかにこのタイヤの耐摩耗性が低いかが分かります。やはりこのタイヤは練習量が多く、交換頻度の高いような使い方をしている人向けなのかなと思います。なので、サーキット初心者の方の選択肢としても良いかもしれません。
下の画像は筑波TC200X1(20分)、FSWレーシングコースX2(60分)=合計80分走行後のタイヤの状態です。
合計80分の走行でスリップサインが・・・。
この後、TC200を1回(20分)走行しましたが摩耗してからのグリップが極端に落ち、特に最終コーナーで横を向きそうになったのは苦笑いでした。「AR-1」に履き替えた時の走行距離が8,959kmでこの時の走行距離は10,700kmなので合計【約1,700km】でしたw。
まとめ
アジアンハイグリップがどんなものかと一度履いてみたかったので、経験としては役に立ちました。いかに国産タイヤの性能が高いかが分かっただけでも、レベルアップです。コストに見合う性能かというと正直な感想は微妙です。もう一度、このタイヤを選びますかと言われたら自分は履きません。しかし、走り方や感じ方には個人差や相性があるので一概にダメということはないと思います。価格が安いのでサーキットを走る方は一度試してみるのはありだと思います。